イントリーゲの遊び方──あるいは、いかにしてゲーム会に女の子が来

 僕の行っているゲーム会には、何人か女性の方が来てくれます。それも、趣味が濃くない、いわゆる一般人の人です。こういうゲーム会にしてはけっこう珍しい光景です。
 もちろん、最初からそうだったわけではなくて、初期の頃のゲーム会は、普通に男祭りでした。「女の子を呼びたい」というどこのゲームサークルでも持っている願いは、やはりここでもありましたが、“誰かが頑張って友達の女の子を連れてくる→その子は「面白かったですー」といって帰って行く→もう来てくれない(泣)”というよくあるサイクルをくり返しておりました。
 ところが。
 ある日すべてが変わったのです。koba君が連れて来た一人の女の子に、とあるゲームをさせたところ、それがものすごく受けたのです。「えー、これメッチャおもろいー。会社の子とやりたいー」との言葉に、僕は快くそれを貸し出しました。で、その次のゲーム会。なんと、いきなり総勢四人の女の子がゲーム会にその姿を現したのです。正直言って魂消ました。驚天動地です。でしょ?
 そして、話の流れ上もうおわかりかもしれませんが、その救世主のようなゲームこそが、かの悪名高きイントリーゲだったのです。驚天動地アゲイン。
 イントリーゲというゲームの紹介はこちら。
http://ejf.cside.ne.jp/review/intrige.html
 このゲームでは、すべてがプレイヤー同士の交渉で決まります。なぜこのゲームが悪名高いかというと、このゲームのプレイヤーは、交渉の中で互いに嘘をつき、大金を巻き上げ、そして裏切りあわねばならないからです。友人関係を破壊し、子供がプレイした日には泣いてしまうとまで言われています。
 でも実際にプレイしてみるとそんなことはありません。爆笑に次ぐ爆笑、もう笑いっぱなしの展開になります。「おいおい、二万払って島流しかよ! うひゃひゃひゃ」とか。というか、そのようにプレイすることがオススメです。
 このゲームはコミュニケーションゲームであり、非常に優れたパーティーゲームです(でもパーティーでイントリーゲをやったりはしませんが)。交渉ゲームとしても珍しく、このゲームでは、進行中の交渉の当事者だけでなく、他のすべてのプレイヤーが、交渉にあらゆる口出しをしてかまわないことになっています。つまり、ゲーム中を通じて、すべてのプレイヤーが喋りっぱなしにできるのです。そんなゲームはちょっと他に思いつきません。
以下は、うちのゲーム会でよく見る光景です。
(青と黄色が同じ1000のポジションを争っている)
青のプレイヤー「じゃあ、一万払う!」
ツッコミ「あの……、ゲーム終了まで1000のポジションにいても、一万の利益は無いんだけど……」
青のプレイヤー「だって、黄色にはさっき島流しにされたから、絶対負けられへん!」
 こういうのは、勝ちにつながらないプレイ──“流れ”を考慮に入れるとまた別ですが、それはおいておくとして──として良くないとされることもあります。ですが、イントリーゲに限っては、これは普通のプレイであると言ってよいと思います。というか、プレイヤーはそう振舞わざるを得なくなってくるのです。なぜなら、多くのゲームの中で、イントリーゲこそは、プレイヤー間の恨み、つらみ、しがらみそれ自体をシステムに取り込んだ稀有なゲームだからです。
 ちなみに僕が今までで聞いて一番受けた脅しは次のようなものです。
「まあ、次のゲームのこともありますからね」
なんじゃそりゃあ!(笑)。
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