プレイヤーエリミネーションの利点

 ボードゲーム(に限らずとも多人数で競うゲームなら大概なんでも)をやっていると、ゲームの途中の時点で誰かがもはや勝てない(一位が取れない)ことが判明して、その人はその後は敗戦処理投手的にゲームを続けなければならない、という状況がうまれることがあります。
 これはなかなかに辛いです。プレイヤーのメンタリティにもよりますが、多くの場合、その状況下ではゲームは遊びというより作業であると感じられてしまい、楽しめるものではなくなると言ってもよいでしょう。
 解決の難しい問題ですが、最近のドイツゲームの中には、最後の得点計算まで誰が勝つかわからないようにするという手法をとっているものがあります。しかし、この解決法にはちょっと違和感を覚えます。だって、“途中の時点では順位がわからない”ことと、“途中の時点では順位が存在しない”こととは、まったく別なわけです。ゲームの途中においても、実はその時点で誰が一位で誰がビリなのかは厳然たる事実として決まっているのであり、ゲームの採点方法を目くらまし的なものにすることによって、常人の処理能力では誰が一位で誰がビリかわからないようにされているだけなのです。
 “実はもう勝てない”人が、その事実がわからないために頑張り続けるという状況は、むしろ気持ち悪いと感じます。それは決して、最後の問題に正解すると百万点もらえて大逆転できるクイズではないのです。
 だから問題はむしろ負け確定の人がゲームに縛られ続けることにあって、負けの人は抜けていく、いわゆるプレイヤーエリミネーションがあるのが良いゲームなのかも知れないと思ったりもします。もちろんこれは、抜けた人が暇にならない場合の話です。負け抜けだけど続きを観戦しても楽しいとか、ある程度大きいゲーム会で周囲で始まる他のゲームに入れるとか。負け抜けかー、じゃあモンハンやってるわーとか。周囲の環境によって、負け抜けのゲームがいいゲームとなる場合はあるのだと僕は考えます。
■目次へ■