ぼのぼの的ゲーム考

 先日、ティカルを初めて遊んだんですよ。で、面白かったんです。面白かったんですが、にもかかわらず、「こんな面白いゲームをみんなが知らないのはもったいない。もっとこのゲームは広く知られて、みんながティカルを遊ぶべきだ」とは思わなかったんです。
 また、僕がはじめてエルグランデを遊んだときは、もう手放しで面白いと感じたんです。が、その後マハラジャを遊んだ時に、ん? と思い、皇帝の影を遊んだ時に、んん? と思ってしまったんです。
 で、僕が連想したのが、いがらしみきお先生のマンガ『ぼのぼの』の中のこんなエピソードだったのでした。
 ぼのぼのシマリスくんとアライグマくんが遊んでいて、アライグマくんが新しい遊びを作ろうと言い出すのです。「オレが言ってる新しい遊びってのはな、もっとこう本格的なもんさ。かくれんぼやオニごっこと同じくらい、本格的で新しい遊びのことさ」「アライグマくん、本格的で新しい遊びってどういう遊び?」「ひとつ、おもしろい。ふたつ、かんたん。みっつ、今までなかった。という感じだな」というわけで、いろいろ試行錯誤しながら新しい遊びが考えられていきます。あれこれとボツにした後で、とりあえず地面に丸を二つ描き、それぞれの中に四角を描くことが決まります。それぞれの丸の中から出ちゃいけないことにしよう。それから……そうだ、貝を使うことにしよう。どういう風に? 相手の丸の中に転がし入れることにしよう。守る方は四角の中にいて貝をはじき出せることにしよう。というわけで、楽しく遊べる遊びが完成します。「この遊びはアライグマくんが「カイコロ遊び」という名前にした」「僕たちはその後一日中カイコロ遊びで遊んだのだ」。そして、「オレたちは新しい遊びを考えたんだぞ!」と宣言して、みんなは帰途につきます。そうして、このエピソードはぼのぼのの次のようなモノローグで幕を閉じるのです。
「でもボクたちはなんとなくわかっていたのだ、それが新しい遊びではないかもしれないのを」
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